Otherwise Gallery

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ウィンド・ウィンドウ
内田 涼 Ryo Uchida

2024.4.26Fri - 2024.6.1Sat

Opening reception

2024.4.26Fri 18:00 - 20:00

Otherwise Galleryより、内田涼個展「ウィンド・ウィンドウ」の開催をご案内申し上げます。
内田の作品は、コントロールせずにできた絵具のたれや滲みなどを出発点として、そこから広がるイメージを捉えながら描かれます。その出発点が何か特定のものに見えないように、意識的に無作為なイメージに留めることから始まる制作過程が特徴です。武蔵野美術大学を卒業後、長く都内を拠点に活動していた内田は、アーティストインレジデンスでの経験から長野の自然豊かな環境へと活動拠点を移しました。新しい土地への移住は、自身の制作過程同様、その後の予想できない展開のきっかけとなりました。窓の多い制作環境、空の広がり、山のある風景など都内では感じることができなかった視覚的な要因も影響し、本展のテーマである窓と風にまつわるシリーズが生まれました。この機会にぜひご高覧ください。



個展「ウィンド・ウィンドウ」に寄せて
大きな窓のある家に引っ越した。フレームの向こうには空を上下に切り裂くような山並みが連なっている。毎日違う色の雲がゆっくりと流れる。夜、部屋の明かりをつけていると羽虫たちが集まってくる。少しずつ違う形の翅やからだが眼の前にたくさん並ぶ。あまりに赤裸々でじっと見るのは難しい。昨日の銭湯の様々な身体を思い出す。

そういえば風景を見るのも難しい。捉えたかと思うとすぐに遠退いて、気づけば何かの背景になっている。雨の日はガラスについた水滴どうしがぶつかって世界が一つに統合されるのを見届ける。水滴に映る歪んだ風景を見るのはなによりも簡単なことのように思える。容器もフレームも無い状態で何かを見たことなんて一度もないのかもしれない。

“wind window ”とはカイトサーフィンにおける帆揚げが可能な空中領域のことであるらしい。風を真背面から受けたカイトサーファーを中心点として半球状に広がっている。風向きはその都度変わるのでwind windowもそれに合わせて移動する。この領域を上手く把握し適切な位置で帆を張れば風の力で前に進めるということだ。カイトサーフィンの経験は一度も無いけれど、検索窓に気まぐれに打ち込んだwind windowという単語の連なりが遠い国のとある界隈ではどうやらちゃんと意味を持っている。この愛おしいささやかな出会いは最近の日々の制作を大いに後押ししてくれた。

《ポスト 》2024,キャンバスにアクリル絵の具,1303x1621mm

内田 涼 Ryo Uchida

美術作家。1989年静岡県生まれ。2015年武蔵野美術大学油絵学科修了。絵具の垂れや滲みによって生じた形を起点に構築していく絵画作品を中心に制作を行う。偶然性や他者性といった不確定要素を取り込みながら、形態に宿るイメージの解体や再構成を目指す。2023年より長野県と東京都の2拠点をベースに活動している。
近年の主な個展に、「スモークアンドミラーズ」(2024年、清須市はるひ美術館/愛知)、「ウォーター・クロス・スナップ、スナップ・クロウス・ウォーター」(2023年、NEWoMan横浜/神奈川)、「夜」(2022年、つつじヶ丘アトリエ/東京)。
主なグループ展に、「バグスクール:うごかしてみる!」(2023年、BUG/東京)、「ATAMI ART GRANT」(2022年、HOTEL ACAO/静岡)、信濃大町あさひAIRレジデンス成果展「おもいっきり、水」(2022年旧金物のオビ/長野)、「Re: examine」(2021年、YOD Gallery/大阪)、2020年より現在までアート/空家 二人(東京)など。
2020年「シェル美術賞2020」入選、2019年「NONIO ART WAVE AWARD」準グランプリ、2022年「第10回清須市はるひトリエンナーレ」鷲田めるろ賞受賞。

Web:https://ryouchida.work/
Instagram:https://www.instagram.com/_ryo_uchida/

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アザワイズ ギャラリー

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